脳汁ドバドバどーぱみんっ

ちっぽけな青年による稚拙な文言

【金融勉強】日本銀行の金融政策の序

1.金融政策に関する伝統的な政策手段

公開市場操作
公開市場操作(Open Market Operation)とは中央銀行が債券を各金融機関と売買する政策。債券保有量を増減させることで市中に出回る資金量を調整。
よく新聞で見る「買いオペ」は中央銀行が債券を購入するもので市中に出回る資金を増やすことで利子率下落&景気を刺激する金融緩和効果をもたらす。「売りオペ」は逆で金融引き締めに向かう。

公定歩合政策
伝統的には、公定歩合とは中央銀行が金融機関向けに貸し出しを行う際の利子率のこと。規制金利時代には預金金利等の各種の金利公定歩合に連動していたこともあり、公定歩合を水準を変更することで主に金融政策を行なっていた。
しかし1994年の金融自由化に伴いその連動関係はなくなった。今では上記の利子率は基準貸付利率と呼ばれている。

預金準備率操作
金融機関が中央銀行に預けることを義務付けられている当座預金の割合を示す法定準備率を上下させることで貨幣供給量を増減させる政策。



2.ハイパワードマネー
ハイパワードマネーHとは現金通貨Cと預金準備Rを足したもの(H=C+R)
ハイパワードマネー中央銀行の負債の一部から構成されているため中央銀行は直接コントロールすることができると考えられる。マネーストックMとの関係性として貨幣乗数をmとするとM=mHと書くことができ、m>1からハイパワードマネーを1単位増やすとマネーストックをm単位増やすことができる。これは信用創造カニズムによるもの。例えば銀行に1万円預金すると銀行はそのうち8000円を貸し出す。その8000円を受け取った個人はまた6000円預金する...の繰り返しみたいな。

公開市場操作公定歩合政策では貨幣乗数を所与としてハイパワードマネーを増減することでマネーストックを増減させる。
一方預金準備率操作ではハイパワードマネーを所与としてマネーストックを増減させる。


3.非伝統的金融政策
伝統的な金融政策では中央銀行ハイパワードマネーや市場利子率を操作していた。
しかし近年では中央銀行が短期の市場利子率を操作することで金融政策を執っているという考え方が有力になっている。
実際多くの中央銀行インターバンク市場の短期金利を操作目標として金融政策を行なっている。

テイラールール
短期の利子率とインフレ率、GDPの関係性についてのJ.Taylorが提唱したルール。
短期の利子率がインフレ率の目標インフレ率との乖離とGDPギャップに比例して動かすルール。ここでGDPギャップとは実際のGDPとせんざいGDPの差である。

ロンバート型貸出制度
日本銀行は無担保コールレートオーバーナイト物の目標値を設定することで短期市場金利を誘導している。金融システムが安定している際は金融機関感での金利の差はごくわずかだが不安定になると信用リスクのプレミアムを反映し金利差が無視できないものになる。短期金融市場は金融機関の資金調達による流動性の確保という点でシステミックリスクを低く抑えるためにも金利差が生じることは望ましくない。

そこで短期金利の安定化のための制度の一つが「ロンバート型貸出制度」である。
これは短期金融市場での資金調達が困難になった金融機関に対して資金を貸し出すものである。
日本銀行では2001年2月から導入されていて、基準貸付利率で資金を貸し出すことができる。従来との相違点としては、公定歩合による貸し出しでは貸し出し先の銀行や限度額が制限されていた。
つまり金融機関にとって基準貸付利率より高い金利で市場から資金調達することは損になるので理論的には基準貸付利率がインターバンク市場での短期金利の上限となる。
しかし、実際には金融危機の際など基準貸付利率よりも高い利率で資金調達が行われた。これはロンバート型で資金調達することは信用度が低いことを市場に示してしまうと恐れたためとかんがえられ、このような現象をstigma(スティグマ)という。



4.日銀の他の主な機能

発券銀行
日本銀行は国内唯一の発券銀行として日本銀行券を発行している。
金本位制を採用していた戦前では日銀の紙幣の発行額と同額の金を常時保管して金と紙幣の兌換を保証していた。今では管理通貨制度で金や銀などの正貨準備保有がない不換紙幣を日本銀行は発行している。

銀行の銀行
日本銀行は金融機関から当座預金を受け入れている。金融市場の貨幣量調整については上述の通り。その他、金融機関が破綻等した際に最後の貸し手として日銀特融(緊急融資)を行うなど信用秩序を守る機能も持つ。日銀特融とは政府からの要請に基づいて、破綻等の状況に陥った金融機関に対する無担保・無制限に行う特別融資のこと。

政府の銀行
日本銀行は政府の委託を受け政府保有の円建て預金勘定を唯一開設していて、国のお金を管理している。また税金などの政府の収入の受け取りや年金等の国庫金の取り扱い、国債発行や外国為替の決済処理も行なっている。